擬態と行動
一般には、擬態は外見がモデルによく似ることをさすが、モデルが動物などの動くものの場合、動きが似ていなければ、外見が似ていても効果が薄い。そこで、擬態するものの動きや行動が、モデルそっくりになるのもよく見られる。例えば、ハチに擬態するカミキリは、細かく触角を振りながら、せわしなく歩く。また,コノハチョウは危険を感じると体を前後にユラユラを動かし,木の葉が揺れるように見せかける。
単にそのような動きをするというだけでなく、行動として、特別によく似た動きを取るものもある。タテハチョウは強く羽ばたいてしっかりと飛ぶが、マダラチョウは柔らかく羽ばたいてふわふわと飛ぶ。タテハチョウの仲間で、カバマダラに擬態しているとされるメスアカムラサキの雌は、普段はマダラチョウのようにふわふわと飛んでいるが、追っかけて捕虫網を振りまわし、取り逃がした途端、タテハチョウの飛び方に変わって力強く羽ばたいて逃げてしまう。このことは、このチョウの普段の飛び方が、モデルに似せるための、つまり擬態のために特にとっている行動であることを示唆するものである。
たとえば、ナゲナワグモというクモは、枝先に足場のような糸を張り、そこにぶら下がって前足から糸を垂らす。この糸の先には粘液の球がついており、虫が近づくとそれをぶつけて虫を捕らえる。ところが、よく調べて見ると、捕まる虫が特定の範囲のガばかりで、しかも雄であることが判明した、そこから研究が進み、粘球にガの性フェロモンに類似した物質が含まれることが判明した。つまり、雄のガが雌だと思ってやってくると、そこにクモがいるわけである。したがって、これは化学物質を利用した攻撃型擬態である。
腐肉の匂いを発してハエ類を集める花が知られているが、これもその例になるかもしれない。
視覚に訴えるものではあるが、外見によらないものもある。ホタルの仲間は雄雌が光の信号でやり取りすることが知られているが、北アメリカのフォトリウス属には、雌がフォティヌス属のホタルの発光パターンで発光し、フォティヌス属の雄を誘引し、捕食するものがある。
擬態の限界
ベイツ擬態のように、無害な動物が有害な生物をモデルとした擬態の場合、捕食者がモデルを攻撃したときのいやな記憶を長く保っていなければ効果がない。もしもハチに刺された動物が、すぐにハチのことを忘れてしまえば、次に(ハチに擬態した)カミキリを見つけたときにも、ためらわずに捕食するだろう。また、ハチの模様と刺された痛みを関連づけて覚えていなければ、次にカミキリを見つけたときにも、やはりためらわずに捕食するだろう。
したがって、脳神経系と視覚などの感覚器がある程度発達した捕食者に対してしか効果はない。
また、捕食者があらかじめモデルの発する信号の意味を理解していなければ(これは遺伝的なものと学習によるものとがあるだろう)、擬態者の「偽の」信号の意味も知らないことになり、効果がない。もしモデルより擬態者のほうがあまりに多ければ、捕食者は、危険なモデルよりも無害な擬態者に遭遇する頻度が高くなり、擬態者の発する信号は機能しない。黄色と黒のカミキリがハチよりもはるかにたくさんいるのであれば、捕食者は、「黄色と黒は食べられる」と理解するだろう。黄色と黒のカミキリがハチと同数ならば、「黄色と黒は危険だが、捕食を試みる価値はある」と理解するだろう。
したがって、擬態者は、モデルよりあまり多数になるような繁殖はできない可能性がある。
『ウィキペディア(Wikipedia)』引用
本当によく似ているものもあり、見分けがつかないものもあります。
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